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お母さんのための中耳炎物語

お母さんのための中耳炎物語 ストーリー9

「都合のよい医師、悪い医師」

3歳のPちゃん。1週間ほど前から鼻水が出ていた。そして、今朝、おそれていたとおり、その鼻水の色はきのうまでの無色透明、サラサラ系とはうって変わって悪臭緑色、ドロドロ系に変化。鼻も詰まって、とってもつらそう。「鼻水よ、自然に止まれ」との淡い期待はやはり無駄。今日の午前中の仕事は耳鼻科への通院に決まりだ。Pちゃんの鼻や咳のために耳鼻科通院は慣れているものの、このあたりは引っ越してきたばかりなので、どこに耳鼻科があるのか、さっぱりわからない。とりあえず電話帳で素早く調査し、H耳鼻科に決定。家事は後回しで、耳鼻科への一刻も早い突撃あるのみ。


H耳鼻咽喉科医院。待ち時間20分で診察室へと名前を呼ばれた。ウン、まあ上出来の待ち時間。朝のスタートダッシュが功を奏した。

Pちゃんの母親

「今朝から青バナがでて、鼻も詰まっています。」

H医師

「青ばながいっぱいで、鼻の粘膜もかなり腫れてるね。これじゃあかわいそうだ。副鼻腔炎、いわゆる蓄膿になってますよ。」

Pちゃんの母親

「えっ、先生、蓄膿ですか。あの、レントゲンを撮らなくていいんですか。」

H医師

「鼻の中を見れば、わかりますよ。それにこれくらいの年齢の子はよく副鼻腔炎を繰り返すから、いちいちレントゲンを撮っていたら、身体にもよく ないからね。」

Pちゃんの母親

「あっ、そうなんですか。以前通院していたところでは副鼻腔炎の診断のときと治るのを確認するときの2回、必ずレントゲンを撮っていま した。あの~、こちらではどのような治療をしていただけるんですか。」

わが子の鼻の調子は頻繁に悪くなる。そのため耳鼻科通院や治療のことについては十分わかっているつもりであった母親。あまりの対応の違いにとまどい、にわかに不安になってきた。

H医師

「ウン、まあ、処置と薬で治療しましょう。抗生物質と炎症を抑える薬を出しますから。しばらくの間、毎日処置に通院してください。」

Pちゃんの母親

「あ、はい、わかりました。」

母親の気持ち

うわぁ、ここは毎日の通院なんだ。毎日はいくら何でもきつすぎる。まあ、薬を飲ませてよくなっていけば毎日いかなくても・・・。

そして、薬のきれる4日目。Pちゃんの鼻はほぼよくなった。ここまでくればまずは安心。Pちゃんもつらそうではないし、このまま様子をみることにした。

ところが、薬がきれて3日目から再びPちゃんの鼻からは青ばなが・・・。

母親の気持ち

やれやれ、しょうがない。また耳鼻科に行こう。

気軽な気持ちで再び例のH耳鼻科へ。しかし、予想外の対応に母親は狼狽することになる。

H医師

「だからちゃんと通院して処置を受けるようにいったでしょ。薬だけではなかなかすっきりとは治らないし、診察に来ないと処置を続けるべきか、薬 を続けるかどうかも判断できないでしょ。それに薬がきれて調子が悪くなってまた薬を出す、結果的にかえって薬を多く飲まないといけないことになるんだか ら。それだけならまだいいけど、薬を断続的に飲むと、だんだんバイ菌に抵抗力がついて、薬も効きにくくなるんですよ。」

Pちゃんの母親は全く言葉が出ない。今まで通院先でこれほど怒られた経験がないのだ。帰途、ヘコんだ。しかし、当初は突然のことでショックだったが、時間がたつに連れて、少しずつ冷静さを取り戻してきた。そして、怒りの感情が沸々とこみ上げてきた。

母親の気持ち

今まで2、3件、耳鼻科には行ったけれど、あんなに怒られたことはなかった。他人にあそこまでいわれることはないわ。それにだいたい、H医師は「診ればわかる」とか偉そうなことをいって、副鼻腔炎なのにレントゲンも撮ろうとしない。他の耳鼻科と違って、かなり怪しいところ なんじゃないかしら。毎日なんて通院できるわけないし、ただの金儲け主義よ。他の耳鼻科を探さなきゃ。

翌日、J耳鼻科を訪れた。H耳鼻科のショックが尾を引いており、最初、診察室にはいるのに緊張が走る。だが、H医師とはうって変わって、にこやかなJ医師。

J医師

「副鼻腔炎になっているようですねぇ~。薬をお出ししますねぇ~。」

J医師は終始、にこやかだ。この、柔和な表情とゆったりした口調につい警戒感をゆるめる。でもやっぱり恐る恐る、訊いてみた。

Pちゃんの母親

「あの、レントゲンを撮らなくてよろしいでしょうか。」

J医師

「そうですねぇ、やっぱり診断をはっきりつけるためにレントゲンを撮っておきましょうか。」

母親の気持ち

ほら、やっぱりレントゲン、必要なんじゃない。前のH医師はヤブ医者だったんだわ。

J医師

「お母さん、ここのところが白く濁っていて、副鼻腔炎を起こしてますねぇ~。しばらく鼻の処置もしましょうね。なるべく可能な範囲で通院してく ださいねぇ~。」

Pちゃんの母親

「はい、わかりました。」

母親の気持ち

ああ、よかった。こんな風にいってもらったらこちらとしても助かるわ。来られるときに来いということよね。

しかし、前回のこともあるので、Pちゃんの母親は念のため、ちょうど薬が終了する日にJ耳鼻科へ。

J医師

「やあ、お母さん、きょうもがんばって連れてきてあげてくれましたねぇ~。」

J医師はあくまでもにこやかだ。それに母親の通院の大変さをわかって、ねぎらってくれている。

Pちゃんの母親

「すみません、先生。今度は1週間後にしか来れないので、薬、必要なら1週間分出してもらえますか。」

J医師

「はい、わかりました。じゃあ、また、来てくださいねぇ~。」

ところが1週間後、耳鼻科への通院はできず、所用が重なったため、結局通院は2週間後になった。きょうはさすがに少し緊張が走る。前回無理を言って1週間分の薬を処方してもらったのに、通院もかなり遅れたからだ。

しかし、診察室ではいつものJ医師の優しい笑顔が待っていた。

母親の気持ち

やっぱりJ先生は優しいし、親切。母親の気持ちもよく察してくれる。これがやはり患者本位の医療っていうものじゃないかしら。こんないい先生に巡り会えてよかった。

私の意見

私の意見

う~ん、どうも苦笑してしまいますね。この事例もやはり現代日本の医療の縮図のような気がします。

最初のH医師の母親に対する叱責。これは至極当然な論理であり、母親に筋道立てて説明しているように見受けられます。もっとも後でかなり母親が気分を害していますから、語調が厳しすぎたのでしょう。しかし、話の内容は適切で私から見るとむしろ好感が持てます。忙しい外来のさなか、これだけの説明ができれば○でしょう。


一方、母親に関しては、やや感情が先走っているように感じます。医師の態度にビックリしたり、怒ったりと、やむを得ぬ点はありますが、医師の話の内容を冷静に咀嚼して、判断できていない点はやはり残念です。ちょっと自分を振り返って反省があってもよかったかと思います。母親の怒りの矛先はついにはレントゲン検査にまで及びました。3歳の幼児に副鼻腔炎かどうかを診るためにレントゲンを撮る、私は適切なこととは思えません。この点に関してもやはり私はH医師の味方です。3歳程度ではまだまだ副鼻腔の発育は小さく、ほおのあたりの骨が厚いのです。骨が厚いところはレントゲン検査では白濁して見え、副鼻腔炎の際にみられる混濁と区別がつかないことが多いのです。つまり、3歳児ではレントゲンを撮ったところで、正確な診断はつきにくいことになります。


さらにいうと、正確に副鼻腔炎と診断をつける場合と鼻汁の具合から診断をつける場合と治療方針にどれほどの差がでるかも疑問です。つまり、診察で青バナを確認した場合と、さらにレントゲンで副鼻腔の混濁を確認した場合で、その後の治療に差がでるのかどうかということです。

また、副鼻腔炎が治っているかどうかをレントゲンで確認するということも私からするとナンセンスです。3歳児などの幼児では頻繁に副鼻腔炎をおこします。レントゲンで副鼻腔炎が治っていることを確認できるまで治療を続けることにどれほどの意味があるのか、私には疑問です。


ちょっと話が脱線してしまいましたが、私の意見としては3歳児の副鼻腔炎の診療に際してレントゲンを撮ることは不要と考えております。反対意見のある医師はどうかメールで私を論破していただきたいと思います。話を元に戻しましょう。


次にPちゃんが受診したJ医師。私はこちらの医師のほうがはるかに怪しいと感じます。母親のいうがままにレントゲンを撮る、こっちのほうがよほど金儲け主義ではないでしょうか。さらに来院時には必ず母親を褒めていますね。このようなねぎらいの気持ちはもちろん大切ですが、医療人としてときには患者さんに苦言を呈するという気概があまりに稀薄なように見受けられます。医療にはいろいろな場面で、適切な幅というものがあると思います。この物語では通院の頻度という幅です。幼児の副鼻腔炎でどの程度が適切な通院回数か、炎症の程度や個人差など、様々な要因があるので一概には決められません。

しかし、青バナがずっと続いていて月1、2回の断続的な通院では適切でないことはだれの目にも明らかです。また一方、鼻水や鼻づまりがほとんどない状態で、レントゲン上混濁があって治っていないとし、ほとんど毎日の通院を指示することも適切さを欠いているように感じます。


まあ、あまり極端な例ばかりを挙げると実感がわかないので、Pちゃんの例に戻しますと、常識的には週1~6回程度の通院が妥当な幅といえるのではないでしょうか。そして、その幅から外れることは適切な医療を提供できないことに他ならず、到底医師として許容できることではないのです。ですから例えば、10日に1回程度しか通院いただけない人には、「せめて週1回くらいは通院してもらえませんか」という話が医師からあって当然なのです。


つまり、今回の話だけから判断すると、J医師のように患者さんへの指導を放棄し、患者さんの心地よさだけを追求して、すりよる医療こそが金儲け医療なのであって、医師としての使命を果たしていないと私には感じられるのです。


様々な理由から、どうしても適切に受診できない人がいることは承知しています。そしてそのような方々は医者側から責められるだけでなく、救済措置が必要なことも十分理解しています。しかし、医療の適切さと社会的事情とは別問題であり、青バナが続いている3歳児が社会的な事情などによって適切に治療されていないということを少なくとも母親に理解していただくことは医師としてのつとめなのではないでしょうか。


今回は中耳炎物語ではなく副鼻腔炎物語になってしまいました。この物語をご覧頂いたことを機会として、ご自分の都合だけで通院していないか、ご自分の感情で医院を選んでいないか、見つめなおして頂ければと思います。

私は小さなお子さんを1人、2人と抱えて大変な通院をされているお母さん方をいつも心の中で敬意を持って応援しています。通院回数もなるべく少なくなるように留意しているつもりですが、それでも毎日の通院が必要な場合があります。そんなときはお母さんにエールを贈るのです、「がんばって連れてきてあげて下さいね。」と。

お母さんのための『中耳炎物語』

ストーリー9

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