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お母さんのための中耳炎物語

お母さんのための中耳炎物語 ストーリー6

「診療所と病院のキャッチボール」

W君は6歳男児。もう2年近く、近所のM耳鼻科に通院してる。鼻がつまっては受診、鼻汁が多く出ては受診、熱や咳でも受診。しかし、なんといっても母親の一番の心配事は滲出性中耳炎。断続的とはいえ2年、ここ2ヶ月は毎日ほど通院している。

W君の母親

「先生、やっぱり最近はずっと聞こえが悪いようです。呼んでもあまりわからないようで、知らんぷりをしていることが多いんです。」

M医師

「そうですねぇ。今は通気を根気よくやっていくしかないですね。お母さん、がんばって通院してくださいね。」

母親の気持ち

もう思いっきりがんばってるわよ。あと数ヶ月で小学校だし、こういつまでも治らないと不安。やはり一度、病院に行ってみるか。

とはいっても新たな病院を受診するのはそれなりの決心がいる。しかし、息子が小学生になる日が迫っているのだ。逡巡している余裕はない。一大決心で、バスで15分、地元の結構みんながよくいっているN病院の耳鼻科を受診することに。

N病院耳鼻科O医師

「う~ん、やっぱり鼓膜にチューブを入れるという手術をやった方がいいでしょうね。しますか、お母さん?」

W君の母親

「先生、やっぱり最近はずっと聞こえが悪いようです。呼んでもあまりわからないようで、知らんぷりをしていることが多いんです。」

O医師

「いや、今からすぐにでもしますよ。鼓膜にチューブを入れるなんて、数分でできるんだから。」

W君の母親

「先生、痛くないんですか?麻酔はどうするんですか?」

O医師

「麻酔はね、耳に麻酔液を入れると、15分程度で痛みがなくなるからね。」

W君の母親

「あの、この子にはその手術が必要なんでしょうか?」

O医師

「まあ、これも1つの治療法ということですね。絶対必要かといわれると、困るけど、このほうが早く聞こえがよくなるからね。まあ、最終的には親の考え方次第なので、僕はどっちでもいいんですけど。」

W君の母親

「先生、また、考えて、来させていただきます。」

母親の気持ち

この医者、最低~!初日にいきなり手術を勧めるなんて、非常識きわまりない。しかも、ちょっと質問したら、どっちでもいいとはどういうことよ!どっちでもいいような手術を勧めるわけ?子供にどっちでもいいような手術を受けさせる親がどこにいるのよ。こんな病院、2度と来ないぞ。

次にW君の母親が向かったのは、電車で30分のA大学病院。もし手術になる場合でも大学病院なら滅多なことは起こらないはず。前は手術といわれてうろたえたけれど、今度は準備もばっちり。夫からも、その場で手術といわれた場合はそうしてもよいとの事前了承は取り付けてある。

A大学病院B医師

「そうですねぇ、この聴力検査の結果では、ちょっと悪いですね。鼓膜にチューブを入れる手術をしますか?」

母親の気持ち

やっぱりそう来たか。

W君の母親

W君の母親 「あ、先生、今からしていただけるんですか?」

B医師

「はあ、いや、そんな、いきなりは無理ですよ。全身麻酔の手術ですからね。入院申し込みをして、術前検査の段取りもして、といろいろな手続きがあるんですよ。簡単に考えてもらっては困ります。」

母親の気持ち

ガーン!!またもや、想定外の展開。全身麻酔、入院、どちらも私の胸にこたえる強烈な攻撃だ。またもや頭は真っ白、パニック!

W君の母親

「先生、耳に麻酔薬を入れて、すぐにできるという話を聞いたことがあるんですが・・・。」

B医師

「う~ん、この子はちょっと無理でしょうねぇ。局所麻酔で押さえつけてやっても、うまく入らないことも多いですし。」

W君の母親

「あの、手術以外の治療法はないんですか?しばらく外来での治療を続けるというようなことはできないのでしょうか。」

B医師

「でも、先ほどの話では、もう近くの耳鼻科で何ヶ月も治療を受けていたんでしょ。それで治らないから、こちらにいらしたのではないんですか。」

W君の母親

「いえ、手術ということではなく、薬とか他の治療法で治っていかないものかと大学病院の先生に相談に乗ってもらいたくて・・。」

B医師

「いや、そのような特別な治療はないですね。手術ではなくて、通気とか薬の治療なら、やはり近くの耳鼻科で見てもらったらいかがですか。」

W君の母親

「そうしたら、今まで通りの近くへの通院治療で治るんですか?」

B医師

「それは今後経過を見ていかないと何ともいえませんね。しかし、手術がいやなら、開業医に通院するしかないじゃないですか。」

最後は少しB医師を怒らせてしまったようだ。それにしても、今日は全身麻酔+入院という、意外性のある攻撃を受けて、息子の治療を進めるという目的がまたもや挫折してしまった。せっかく大学病院にまでいって1日をつぶしたのに、何の進展もない。悔しい。悲しい。いや、しかし、いきなり全身麻酔の入院手術といわれて、すぐに決断するのは無理な話だ。それに、こちらの考えや希望は精一杯伝えた、私はがんばった。それで今日のところは自己満足するしかないのであった。

私の意見

私の意見

このストーリーはまさに我が国の滲出性中耳炎治療の問題点の縮図ともいえるものです。医者のご都合主義によってここでもまた一人、救われない母親ができてしまったといわざるを得ません。このストーリーで私が最も問題と感じる点は、大学病院の医師が、滲出性中耳炎児の外来での治療を放棄している点なのですが、まずは最初から順を追って問題点を指摘していきましょう。


まず、M医師です。我が国の開業医で通院での通気治療を続けるという治療はいたしかたないでしょう。しかし、自院では通気治療でしか治療していない場合でも、せめて鼓膜チューブを入れるという治療法があり、それも選択肢にはなることを説明してあげるべきではないでしょうか。それが医者の良心、守るべきモラルではないでしょうか。


次にN病院のO医師。O医師の話は、やはりデリカシーがないというか、配慮に欠けるところがありますし、説明不足といわれても仕方がありません。「僕はどっちでもいいんですけど」というのは問題発言でしょう。しかし、チューブ留置を初診時に勧めること自体は必ずしも悪いことではありません。まあ、O医師は不適切発言があったという以外の詳細はこの会話からはわかりません。


最後にA大学病院のB医師。彼個人に問題があるとは私は思いません。しかし、彼のような、大病院の医師にありがちな対応は私は重大な問題だと思っています。開業医レベルでできる治療は開業医で行い、開業医で対応できない治療を大病院で行うという、役割分担は必要でしょう。しかし、それが行き過ぎた場合には、大病院の勤務医は通院での治療というものをほとんど経験しないということになります。そうなると大病院では通院での治療がどの程度効果があるかという有効性の十分な検証がされないままになってしまうということが起こりかねません。このケースの場合も、おそらくB医師は毎日ほど通院して通気を続けるという治療をした経験はほとんどないはずです。


つまり、自分がその有効性を全く確認できていない治療(開業医での通気治療)を勧めるというのはいかがなものでしょうか。加えて、この患者さんの母親はそれらの治療が不安になって大病院を訪れているわけです。もう少しこの母親に救いの手を差し伸べてあげるべきではないでしょうか。そのような配慮がないまま、大学と開業医の間をキャッチボールされる患者さんはたまったものではありません。


もちろん、近年は益々大病院で通院治療を継続していくということが、厚生労働省の方針で、難しくなっているという事情はあります。このことは、滲出性中耳炎に限らず、あらゆる病気の、開業医レベルの通院治療が検証されないまま、行われ続けるという弊害を生む危険をはらんでいるのです。


最後に、このストーリーで登場した3人の医師の治療方針が違うという点について少し触れたいと思います。医者によっていうことが違うということは、滲出性中耳炎の治療方針の場合も、問題視され続けています。しかし、この3人の医師の治療方針の違いは、私には許容範囲のように思えます。どんなに厳密なガイドライン(治療指針)を作っても、解釈の違いによってこの程度の差が出るのは避けられないと思うからです。


結局、生身の人間という自然を扱うのが医療ですから、数値などだけでは決められない面がありますし、本来、治療とは患者さん側の多様な価値観によって変わるものだからです。そうしたら、素人である、この母親はどのように判断したらいいのでしょうか。自分で決められない場合は、自分が一番信頼できるという医師の言葉を採用するしかないでしょう。結局、お子様の病気の治療などを決定するあらゆる局面で、最も責任ある決断を下すのはご両親以外にあり得ないということを再認識していただきたいと思います。

お母さんのための『中耳炎物語』

ストーリー6

「診療所と病院のキャッチボール」

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