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お母さんのための中耳炎物語

お母さんのための中耳炎物語 ストーリー3

「他院で鼓膜切開を受けたところ・・・」

4歳男児S君。両耳の滲出性中耳炎とのことで通院中。薬と週2・3回の通院で鼻の処置とネブライザーを続けている。そんな状況がもう3カ月。がんばって通うと鼻はよくなってくるけれど、よくもっても1カ月がいいところ。あまりに通院が長くなっているので、ある日、違うE耳鼻科を受診してみることにした。電車で二駅、毎日の通院は無理でも、とにかく今の治療でいいのかどうかをみてもらいたい。でも、ここの先生は腕はいいけれど、ちょっとこわいという評判なので、不安も感じつつ・・・。

E医師

「これは滲出性中耳炎になっています。鼓膜がかなり痛んでいるから、鼓膜切開をしましょう。」

そんなある日、Nちゃんはまたまた耳痛を訴える。A医院はあいにく休診日。仕方がないので、ちょっと離れているけれど車で20分のB耳鼻科医院へ。

S君の母親

「今の通院先でも鼓膜切開を勧められたことはありますが・・。でも、鼓膜切開はこわいんで・・。このままの通院では治りませんか。」

E医師

「今の状態だと、鼓膜切開をすべきです。すぐ済むんだから、受けて下さい。」

S君の母親

「はい。」

母親の気持ち

医師の気迫に押されるようにして、思わず同意してしまった。10数分間は痛み止めの処置のため、ベッドに横になって耳の中に薬を入れている。幸い、まだ子供はいやがっていない。このまま鼓膜切開を受けていいのか、今なら拒否できるのではないか、今までの通院先の先生にはなんていったらいいんだろう、次々と不安が頭をよぎる。「やっぱりやめて、帰ります」といおうとした瞬間・・・!

「はい、じゃあ、どうぞ」と看護婦さんが子供の耳をガーゼで押さえ、診察台に連れていかれた。先生がなにかいったけれど、母親の耳には入らない。

E医師

「じゃあ、しょうがないなぁ。看護婦さん、代わりに座って抱いてあげて。」

あっと思う間もなかった。医師は母親に座って子供の身体を押さえるよういったようだ。他にも3・4人の看護助手がよってたかって子供を押さえつけ、鼓膜切開。子供は泣き叫んだけれど、一瞬で終了。

母親の気持ち

突然でびっくりしたけれど、まあ、とにかく終わった。まだ動悸がするし、足も震えている。あしたからはお風呂に入っていいということだけど、シャンプーは不安だし、今後の通院をどうするかとか、考えることはいっぱいある。けど、今はそんなことを考える気にはなれない。とにかく、脱力感だけ。

帰り道、S君は屈託のない明るい声で母親に告げた。

S君

「ママ、何かよく聞こえるみたい。さっき、電車の音、すごくうるさかった。」

母親

「ねえ、お耳、痛くない?」

S君

「うん、全然、痛くないよ。」

母親の気持ち

うれしさで、まわりの景色が急に華やかな極彩色に変わっていくような感覚。切開を拒否してきた自分が情けなく、また子供に申し訳ない気持ちがこみ上げてきた。私さえもう少ししっかりして、勇気を持って切開を受けさせてあげていたら、もっと早くよくなったのにと思うと、涙があふれでてきた。

翌日、やはり電車に乗って、E耳鼻科へ。

母親の気持ち

きのう、鼓膜切開してもらったばかりだから、やはりE医師にみておいてもらわないとね。それにやっぱり感謝の気持ちも伝えたいし・・・。

診察の順番がやってきた。E医師の前ではどうしても緊張で顔がこわばってしまう。

S君の母親

「先生、きのうはありがとうございました。聞こえ具合が良くなって、家族みんな、喜んでいます。」

E医師

「それはよかったね。」

一通りの処置が終わったあと。

E医師

「じゃあ、また、あした来て下さい。」

母親はびっくりした。うろたえた。でも、どうしても伝えなければ・・・。

S君の母親

「先生にみていただきたくて、電車で通院していますが、毎日、ここに通院するのはどうしても無理なんです。普段は近くの耳鼻科でみてもらってもいいですか。」

E医師

「う~ん、あちこちいくのはあんまりいいことではないが・・。
じゃあ、こちらには一週間に一度の通院ということにします。」

母親の気持ち

ああ、やっぱり週1回はこっちにこなきゃあいけないんだ。まあ、週1回になっただけでもいいか。E医師にも診察していただきたいのは確かだし・・・。

2日後に、今度は近所のかかりつけのF耳鼻科へ。

母親の気持ち

E耳鼻科で鼓膜切開を受けたこと、なんていおうかな。まあ、親戚にしつこく受診を勧められたので、1回いったら鼓膜切開をされてしまいました、ということにでもしておこう。

S君の母親

「あのぉ~、3・4日前に親戚がどうしてもということで、ちょっと離れた耳鼻科に行きました。やっぱり先生にみていただきたくて。」

最後の自尊心をくすぐる言葉がよかったのかどうか、にこやかな対応をするF医師。しかし、S君の耳をみた途端、表情は一変した。

F医師

「あぁ~、鼓膜切開を受けたんですね。」

F医師の態度に怒りがあるようには感じられない。しかし、あぁ、なんてことだ、という失望の色を隠そうとはしない。

F医師

「う~ん、こりゃあ、困ったな。お母さん、鼓膜にべったりと血が固まって付いていますよ。こうなったらやっかいなんだよなぁ。鼓膜に穴が開いていても見えないし、鼓膜の穴が早くに発見できないと、そのまま手遅れになって鼓膜に穴が開いたままになることもあるからなぁ。大丈夫だといいんだけど・・・。」

母親の気持ち

えっ、もしかして私は大変なことをしでかしたのかしら。大きな不安が頭をよぎる。

F医師の話は続く。

F医師

「鼓膜の穴が自然に塞がったとしても、また、滲出性中耳炎は再発しますし、今の時期的には鼓膜切開は必要ないんです。切開後に聞こえはうんとよくなりますが、ごく一時的なものなんですよ。鼓膜切開、受けてほしくなかったなぁ。それに、きょうはお子さん、いつもより診察をいやがりますね。無理矢理した鼓膜切開が恐怖感につながってるんじゃないかな。こうなると日頃の処置も難しくなるし、困ったなぁ~。こうなるのが一番よくないことなので、僕はずっと慎重に、処置してきたんですけどねぇ。」

F医師

「鼓膜の穴が自然に塞がったとしても、また、滲出性中耳炎は再発しますし、今の時期的には鼓膜切開は必要ないんです。切開後に聞こえはうんとよくなりますが、ごく一時的なものなんですよ。鼓膜切開、受けてほしくなかったなぁ。それに、きょうはお子さん、いつもより診察をいやがりますね。無理矢理した鼓膜切開が恐怖感につながってるんじゃないかな。こうなると日頃の処置も難しくなるし、困ったなぁ~。こうなるのが一番よくないことなので、僕はずっと慎重に、処置してきたんですけどねぇ。」

さらにF医師、今度はめずらしく母親のほうに身体を向けて、真正面に、正対するように姿勢を正し、話し始めた。

F医師

「お母さん、子供の滲出性中耳炎というのは長い経過がかかるものなんです。そりゃあ、通院は大変なのはわかりますが、パッと一度みただけで鼓膜切開なんかをしちゃあいけない。経過の流れの中で、鼓膜切開が必要なタイミングを計っていかないといけないんです。不必要な時期に切開すると、子供は処置をいやがって、耳鼻科に通院するのがいやになるだけなんです。そして、どういう時期に鼓膜切開するかは鼓膜の変化や聞こえ具合などの経過を見てはじめて判断できるものなんです。」

母親の気持ち

もうダメ。私は倒れそう。なんてことをしちゃったんだろう。安易な私がバカだった。ここまでいろんなことを考えて下さって、治療をしてくれてたんだ。それを他の耳鼻科に行った理由まで私はウソをついてしまった。もう迷わない。もう間違わない。もう2度と他の耳鼻科に浮気はしない。先生、ごめんなさい。

私の意見

私の意見

2人の医師の一挙手一投足に一喜一憂する母親。医者の言葉に翻弄されているといってもあながち大げさではありません。最初に登場したE医師、少し強引なところがある印象は受けますが、一連の対応で私がコメントしたくなるような問題点は見受けられません。初診時にいきなり鼓膜切開をすることが適切なこともよくあることです。


一方、いつもの通院先のF医師、私からするといただけませんねぇ~。他院を受診したとのことで、内心、気分を害しているのでしょうが、そこまで母親を不安に陥れるような言葉をはかなくてもいいでしょう。これでは母親があまりにかわいそうですし、救われません。また、腹立ち紛れとはいえ、他院を明確に批判するのも不適切です。もちろん、これは医師同士、かばいあえばよいというレベルの話ではありません。単なる治療方針の違いをあたかも私のほうが正しいという言い方をするのは、医学知識の乏しい一般人を対象とした場合は卑怯な言い方だと私は思います。このF医師の言い方では、私は適切な治療をしており、E医師は全く配慮に欠けた、誤った治療をしている、と暗にというよりも、あからさまに言っています。母親を精神的に追い込み、他院の治療を不適切に批判し、なおかつ、今後も自院への通院を促すよう誘導しています。


私の価値観からしますと、こんなF医師のような陰湿なやり方をするくらいなら、「他院で治療を受けて、私の治療方針が気に入らないなら、そちらに行ってくれ」と怒るほうがよほど誠実な対応のような気がします。


また、一方、S君の母親に関しては、お子様がすぐによくならなければ、疑問が出てきてほかの医療機関を受診したくなるのは当然のことです。ただ、少し医師の言葉に翻弄され過ぎのきらいがあります。まあ、相手(医師)はプロなので、言葉のやり取りや、悪くいうと、ごまかし方が上手でなかなか太刀打ちできないかもしれませんね。「鼓膜切開は必要ない」と断定したり、「鼓膜切開が必要なタイミングを計っていかないと・・」という表現もちょっと怪しい気がします。じゃあ、どんなタイミングで鼓膜切開をするのかと問い返したくなるくらいです。「僕はずっと慎重に、処置してきた」というのも、いかにも自分を正当化する表現で、何のことかさっぱりわかりません。私は変に修飾された言葉にごまかされないよう注意していくべきと思いますし、君の母親も日頃から「なぜ」という疑問を持って考える癖をつけておくと少しは違った反応ができたのかなとも思います。


また、医師は、理想的には、患者さんにわかっていただくように理路整然と説明すべきです。「理想的には」とつけたのは、そのような説明ができないことも多々あるからです。やはり日々の診療の中で、全ての患者さんに納得いただける説明ができるほど、時間的余裕は、はっきり言ってありません。私も「できる限り」努力はしていますが・・・。そして、患者さんにちゃんとおわかりいただけない場合があるとしても、少なくとも同業者(医師)が聞いたら納得できるようなきっちりとした、理屈の通る説明をすべきと私は思っています。それが、医師の誠実な姿勢ではないでしょうか。

不十分な情報(一人一人に十分な説明時間がないという意味)と安心を生む言葉の欠如、いまの時代を生きる方々はある面、不幸といえるのかもしれません。

お母さんのための『中耳炎物語』

ストーリー3

「他院で鼓膜切開を受けたところ・・・」

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