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お母さんのための中耳炎物語

中耳炎、この病気でお悩みの方が多いことは言を待ちません。そして、100人の中耳炎患者さんには100通りのお悩み、ストーリーがあります。長い通院のなかで、お子様の病状に対する思い、医師に対する思い、様々なものがあることでしょう。そして、お子様の身を案じるあまり、あるいは思い込みを持つあまりに、判断を誤ったり、誤解が生じることも多いのではないでしょうか。

私がここで皆様にお贈りするストーリー、あなたの過去の体験と重ね合わさる場面、共感できる場面がきっとあると思います。しかしこれらのストーリーの読者であるあなたは間違いなく第三者なのです。そう、あなたが第三者の視点を持ったとき、何が見えてくるのか、新たに感じ取れることがあるのではないか、そんなふうに私は思っています。このストーリーを読むことで、過去や現在の状況を見つめ直し、前向きに取り組んでいただくきっかけになれば幸いです。

お母さんのための中耳炎物語 ストーリー1

「薬の出し方、説明の適切さ」

3歳、女児Nちゃん。中耳炎をよく繰り返す。この2カ月間で3回も耳の痛みを訴え、そのたびに近くの耳鼻科A医院に行っている。1度受診すると4・5日間は毎日、通院が続くので、お母さんともども親子は大変。少し落ち着いても週に2・3回の通院を言い渡される。抗生物質の飲み薬も結構長くでるので、この2 カ月間はほとんど薬をとぎれずに服用している感じ。

母親の気持ち

通院はとっても大変。でも子供のために何とか治してあげたい。将来、聴力が悪くなっては一大事。薬をずっと飲み続けていることには多少不安も・・・。

そんなある日、Nちゃんはまたまた耳痛を訴える。A医院はあいにく休診日。仕方がないので、ちょっと離れているけれど車で20分のB耳鼻科医院へ。

B医師

「お母さん、お子さんの右耳が痛いのは急性中耳炎のためですが、左耳が滲出性中耳炎になっています。お近くの耳鼻科に通院中とのことですので、左耳のことも説明を受けていらっしゃいますよね。両方の耳が悪いですから、最近ちょっと聞こえにくかったんじゃないですか。音に対する反応はどうでしたか。しっかり通院して治療を受けて下さいね。」 医師からの矢継ぎ早の言葉。

母親の気持ち

頭の中が真っ白。そういわれれば、最近聞き返しが多いので少し気になっていた。テレビのボリュームもすぐに大きくしてしまう。これらのことはいま考えると間違いなく難聴のためなのに、どうして気づいてあげられなかったのか・・・。驚きと自責の念が頭をよぎる・・・。

そういえば、先生がいってた「シンシュツセイチュウジエン」って何?そんな病気、聞いたことがない。この2カ月間通院していて、左が悪いとは聞いていない。A医院では左耳の診察もしていたはずなのに・・・。不信感と怒りがこみ上げてきた。

それにあんないい加減なところにいわれるがままに2カ月間もほとんど毎日通院していたとは、情けないやら、腹立たしいやら・・。

もう2度といくもんか、あんな医者の顔、見たくもない。

さらにB医師の話は続く

「お母さん、他院で出してもらっていたお薬ですが、あまり長く服用するのはいいこととはいえません。私のところでは、子供への投薬はできるだけ控え、毎日の通院と処置で治療しています。通院は大変かもしれませんが、そのほうがお子さまのためになると思いますよ。」

母親の気持ち

B医師はわが子の滲出性中耳炎を指摘してくれたばかりか、漠然と不安に思っていた薬の心配にまで対応してくれている。この先生にみてもらおう。車の通院は大変でも、わが子の耳のため、できるだけ毎日、通院しよう。

私の意見

私の意見

このケースではA医師は不適切な医師、B医師はいい医師ということになっていますよね。実際にそうかもしれません。しかし、そうではないかもしれません。この文章だけから結論は出せませんが、私としては、単に治療方針が異なるだけの可能性が高いように見受けられます。確かに左耳の滲出性中耳炎のことをA医師がしっかりと把握していたのかどうかも疑問ですが、母親に告げなかったのは不適切です(この点については後述します)。しかし、滲出性中耳炎の半分以上は自然に治癒しますから、当面は鼓膜の状態の経過観察だけを行うという方針(もちろんA医師がそういう方針をとっていたのかどうかも実際にはわからないのですが、少なくとも見かけ上は結果的にそうなっています)は適切なものです。


また抗生物質の長期に渡る服用も、その薬の種類と量によっては反復性中耳炎の治療として有効とされており、必ずしも不適切とは言い切れません。それでは逆のケース、つまりこの患者さんがまずB耳鼻咽喉科を通院し、あとでA医院を受診した場合、どうなるのかシミュレーションしてみましょう。

3歳、女児Nちゃん。右の急性中耳炎を繰り返し、左滲出性中耳炎もあって、B耳鼻咽喉科に通院中。もう2カ月近く、日曜日と休診日の水曜日を除き、ほとんど毎日通院中。おかげで鼻は落ち着いているけれど、滲出性中耳炎が治っていないようで、処置を続ける必要があるとのこと。最近は右耳も滲出性中耳炎になっているようだ。ちょっと聞こえにくいような気もするけれど、最近は悪い意味でなれてしまったみたい。その点もかえってこわい気がする。そんなある日、Nちゃんはまた右耳を痛がった。あいにくB耳鼻咽喉科は休診日。やむなく、近くのA医院を受診した。

A医師

「右は中耳炎になっているね。薬を2週間分、出すから。」

Nちゃんの母親

「2週間も飲み続けるんですか。」

A医師

「右耳は最近何度も中耳炎を繰り返しているということなので、反復性中耳炎という診断になるね。この場合は通常よりも少な目の量の抗生物質を1・2カ月間飲む治療が有効なんです。だから、お子さんもしばらく薬を続けたほうがいいね。」

Nちゃんの母親

「あの、副作用は心配ないのですか。」

A医師

「通常の半分くらいの量の抗生物質ではあまり副作用の心配はないよ。」

Nちゃんの母親

「はい、わかりました。あのぉ~、左は滲出性中耳炎になっているといわれているのですが、・・・。それで、毎日ガッコウ通気というのをするために通院しています。」

A医師

「まあ、いまはそこまで必要な状態ではないね。それに滲出性中耳炎はほとんどの場合、自然に治るから、耳の状態を定期的にチェックするだけでいいよ。」

Nちゃんの母親

「そうしたら、毎日、通院しなくていいんですか。」

A医師

「今の状態なら週1回で十分だよ。」

Nちゃんの母親

へぇ~、そんなものか、と思う。全然いうことが違うんだな。でも、いままで毎日通院していたのはなんだったんだ。どっちを信じていいのかわからないよ。

私の意見

私の意見

このようにBからAという逆のケースでは、A→B程のインパクトは母親にはありません。これはB医師からある程度の情報提供を受けていたからこそであり、B医師の功績といいますか、コミュニケーションの賜物でしょう。それにB耳鼻咽喉科で治療を受けたり、説明を受けたりした経験が、A医院で母親が質問できた素地になっています。この質問によってA医院の治療方針を聞き出すことができました。


また、A医師の「いまはそこまで必要な状態ではないね。」との発言は見過ごされがちですが、注目してよいものかもしれません。1つの可能性としては、A医師はガッコウ通気の治療効果は全くないと考えているかもしれないのです。ですから、本音では「そんな処置は必要ない、効果がない」と考えていても、あからさまに他院の批判ははばかられるため、「いまはそこまで・・・」と表現をやわらげたのかもしれません。

A医師が左の滲出性中耳炎という病名を母親に告げなかったことについて

A医師が左の中耳炎を見逃したのであれば、診断ミスということになりますが、実際にはそう単純なものではなく、特に幼児の鼓膜の状態は変化しやすいので、見逃していたかどうかはだれにも判断できません。いや、ここで特別に論じたいのは、そんなことではなく、患者さんにどこまでのことを告げるべきかというお話です。


いうまでもなく、インフォームド・コンセントの時代、患者さんには全てのことを包み隠さず話すべきだ、納得いくまで説明すべきだというのが正論なのでしょうか。一言でいうと、そんなことはない、というのが私の意見なのですが、残念ながら私の意見は世の中に通用しそうもありません。


人間である限り、心の影響、精神的な作用が全くない病気というのは存在しません。また、不必要に不安感をあおるのはいいことではありません。例えば、このケース。A医師は左の滲出性中耳炎を知りながら、当面は経過観察だけでいいので、母親の不安感を増すような病名を告げるようなことはせず、経過を見ていたのかもしれません。自然に治らず、処置や治療が必要になった段階で説明すればいいと考えていたのかもしれません。


もちろん、これをお読みの多くの方はこのような考え方に納得しないでしょう。しかし、考えてみて下さい。右は急性中耳炎を繰り返し、通院中です。左も種類の違った中耳炎となると、母親の不安は倍増します。自然治癒が多い病気ならあえて左の病名は告げず、経過を見てあげるという考えも思いやりのある判断とはいえませんか。もちろん、それでも納得しない方が大半でしょう。そして、そのような時代だからこそ、医師はあらゆる事を告げざるを得ないのです。もちろん、いまでも医師の顔をみたら元気になる、治ると思って下さる方もたくさんおられますが、「大丈夫、まかせて下さい」とか「心配ないよ」とか、治療効果を生む言葉を発しにくい状況であることは間違いありません。


不十分な情報(一人一人に十分な説明時間がないという意味)と安心を生む言葉の欠如、いまの時代を生きる方々はある面、不幸といえるのかもしれません。

お母さんのための『中耳炎物語』

ストーリー1

「薬の出し方、説明の適切さ」

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